R4.11 楽観主義者は長生きできる
秋も深まり冬の近づきを感じるようになり、気温の低下に伴って血圧の上昇や神経痛の悪化で多くの方から相談を受ける季節となりました。からだを温かめるような衣服の調整やからだを冷やすような飲食を控えるなどに注意することも重要です。
さて、皆さまはものごとに対して楽観的でしょうか、それとも悲観的な方でしょうか。このたびハーバード大学の研究者の方がおもしろい研究成果を発表されています。
アメリカの16万人の女性を対象とした研究ではありますが、楽観主義傾向の方が健康的で長生きする率が高いという報告です。
人種や収入、教育などの生活環境の影響を受けるのではと考えてしまいますが、今回の結果からはそういった背景の影響は少なく、楽観的な性格かどうかによる影響が大きいとの結論でした。論文のabstractを読んだのみなので論文全体を読んでみたいと思いました。
普段の外来で様々な患者さんをみておりましても楽観的な方はなんとなく病気が安定している印象があり、またご高齢でもお元気な方ほどこの傾向はあるなと思っていました。このように科学的に検証されると診療においてもアドバイスがしやすくなります。体調が悪くて受診される方の中にはストレスが多いためか多くのことをネガティブ(否定的)にとらえている場合も結構あり、もう少しポジティブ(肯定的)にとらえることができれば体調もよくなるのではないかと考えることもあります。現状に対して少しでも肯定的に、前向きにとらえるようになれるかどうかにより体調や仕事の成果などの未来が変化していく可能性があることを伝えることは診療においてもとても重要だと思いました。
また今この日本で普通に生活できていることは多くの方や先人の方のおかげがあってのことであり当たり前ではないということです。感謝の気持ちを忘れずに日々生活していきたいものです。
今回の論文の内容については著書がYoutubeで解説されているものがありますので興味がある方はみていただければと思います。
もりもと内科医院 森本尚孝
◎今回のURL: 手を洗う救急医Taka:【朗報】ハーバード大学の研究で楽観主義者は長生きできることがわかりました
https://www.youtube.com/watch?v=8quInGsvr_o
◎今回の論文:Hayami K Koga et al, J Am Geriatr Soc. 2022 Oct; 70: 2793-2804.